会社から賃金振込で銀行口座を指定されることは違法について説明
バズった
めもりーさんのツイートがバズる。
そういえばブラックに居たときに、給与振込口座を会社に指定されて口座を作成させられたんだけど、これ普通に違法らしい
— めもりー🐱☕ (@m3m0r7) 2021年2月10日
そこにぶら下げた私のツイートも小さくバズる。
労働基準法施行規則7条の2第1項に「給与の支払を銀行振込で行うことができます」と記載がありますが、振込先は「労働者の指定する銀行」と書いてあるのでね。
— さっぴー川原🍶駆け出しエンジニア32年目 (@sapi_kawahara) 2021年2月10日
知らなかったといツイートが多い中、色々な疑問も出ていたので、会社から賃金振込で銀行口座を指定されることは違法について説明します。
※ブログでは給与のことを賃金と記載します。
賃金支払いの根本ルール
労働基準法第24条を参照してください。
elaws.e-gov.go.jp
第二十四条 賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。
② 賃金は、毎月一回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。ただし、臨時に支払われる賃金、賞与その他これに準ずるもので厚生労働省令で定める賃金(第八十九条において「臨時の賃金等」という。)については、この限りでない。
いきなり難しいですね。
これが世間で言われる「賃金支払の五原則」です。
厚生労働省のFAQがわかりやすいので、こちらを参照しましょう。
www.mhlw.go.jp
賃金の支払いは以下のルールがあると覚えておくと良いでしょう。
- 通貨で
- 直接労働者に
- 全額を
- 毎月1回以上
- 一定の期日
今回の件では「通貨で」と「全額を」が影響するので説明します。
通貨でというのは、現物支給の禁止で、価値が異なる現物で、支払うのは駄目です。
そして、ここで言う通貨というのは「貨幣及び日本銀行法の規定により日本銀行が発行する銀行券」で、物理的な紙幣と貨幣、つまり現金です。
全額をというのは、本来の目的は賃金の支払いを滞納することで実質的なタダ働きさせないためです。
ただし、法令に別段の定めがある所得税の源泉徴収や地方税など一部控除することが認められています。
このことから労働基準法第24条では「賃金の支払いは全額現金を渡す」ことが規定されいます。
次のルール
賃金を現金で払うのは手間ですし、1968年12月10日に発生した三億円事件という未解決事件もあり安全な方法として銀行口座を使うことが行われております。
それに対する規定は労働基準法施行規則第7条の2になります。
第七条の二 使用者は、労働者の同意を得た場合には、賃金の支払について次の方法によることができる。
一 当該労働者が指定する銀行その他の金融機関に対する当該労働者の預金又は貯金への振込み
ここで重要なのは「当該労働者が指定」とありますので、会社が銀行口座を指定することは違法になります。
振込手数料天引き問題
使っている口座を会社に指定したら、振込手数料を天引きされた話もよく聞きます。
これは労働基準法第24条の項目で書いたとおり、「賃金の支払いは全額現金を渡す」ことが前提になりますので、賃金から振込手数料を天引きすることは「全額支払う」こと反するので違法になります。
賃金支払いの5原則というのがありましてね。
— さっぴー川原🍶駆け出しエンジニア32年目 (@sapi_kawahara) 2021年2月10日
その中の「全額払いの原則」で「賃金は労働者に全額支払う」となっておりますので、振込手数料を天引きするのは、この原則に反することなので違法です。
このことが是正されたが、過去に天引きされた分が返金されないことも言うツイートも見かけますが、善意が少しでも残っている会社ならさかのぼって返金するでしょう。
一応、2年間さかのぼって返金請求は可能ですが手間がかかるかもしれません。
会社がお願いする問題
会社が銀行口座を指定じゃなくて、お願いすることは問題ないという意見があります。
確かに、お願いという程度なら違法とは言い切れません。
だけど、会社がお願いすることは拒否できないと感じる人も居るし、会社の経費節減のためだと周りが言い出すことで「同調圧力」になる可能性があるので、問題ないという点には疑問を感じます。
特に同調圧力が生まれることは非常に危険なことで、これに歯止めがかからないことで、そこからパワーハラスメントなどを生むきっかけになり、その結果、多くの悲劇を生むことになります。
経験者ならわかりますが、同調圧力は本当に良くないことです。
そして、同調圧力は法を無視することを良しとする風潮が生まれてきます。
この関連ツイートや、引用ツイートを見てくださるとわかりますが(あえてリンクしませんが)、「会社の損は労働者にも降りかかる」とか「会社の不利益を推進するな」とか、そんなことを言う人も居ます。
そもそも「会社の損」とか「会社の不利益」とか、会社の利益って何だろうね?
会社が違法な行為をして利益をあげることが正しいのでしょうかね?
例えをあげるとすると、スポーツ競技でルールを無視して勝つことに意味があるのでしょうかね?
融資問題
この問題には、さらに闇があります。
真相は不明ですが、銀行口座を作ると融資を受けやすくなると言われることがあり、口座を作らせる行為もあります。
これこそ「同調圧力」になりますし、その行為を銀行の行員が黙認しているのなら、それは銀行のコンプライアンス違反となります。
また、その行為を黙認する行員を信用して良いのでしょうか?
結局は、行員の業績を上げることがメインなので融資をしてくれるとは限らないです。
融資のためというのは絶対に従ってはいけません。
まとめ
労働基準法第24条において「賃金の支払いは全額現金を渡す」と規定してます。
労働基準法施行規則第7条の2において「労働者が指定する銀行」と規定してます。
上のことから、賃金の振込で、会社から銀行口座を指定されることと、振込手数料を天引きされることは違法となります。
会社から銀行口座をお願いされることは、ブログ主としては違法とは言い切れませんが、同調圧力を生むことになるので推奨しません。
こういう言葉のニュアンスで苦しむ人も居るので、ブログ主個人としては違法に倒したいぐらいです。
余談ですがブログ主は、ここに書いたこと全部経験しております。
蛇足になるかもしれませんが、融資問題について書きます。
遠い昔に、会社にお願いされて融資のため親族に口座を作らせるなどの協力を行いましたが、このときは、これが同調圧力とは気付きませんでしたが、今思い出すと、これが同調圧力なんだなーと思います。
そして、結果として会社は融資に失敗して、全社員に融資失敗したのを、罵倒とともに、お前らの責任だと言われたことあります。
この後は、社員と経営者の罵倒合戦が始まり、その結果、メンタルが弱い人はつらい思いをし、耐えきれない人は会社を去りました。
こんな地獄のような環境で働きたいですか?
同調圧力は不幸しか生まれません。
そして、善意で会社に協力しても、経営者は貴方を罵倒するんですよ。
会社は貴方を守りません。
それなら法律を守るほうがマシです。